#2 森びび立ち上げの経緯②

町紗耶香

森びび 編集長

さて、では「なにをしようか?」と思索していたときにふと気がついたことがありました。

「好きなことを好きだと大声でいう」「やりたいことをやる」

実はこれ、こどももおとなも心の底からやれてないんではないかなと思いました。

・チョコレートが大好きだ〜!(心の声:でも太るし夜中に食べたらだめよね・・)
・家事育児放置してだらだらしたい。(心の声:でも私がやらなきゃ誰もしないよね・・)
・裸足で思いっきりあそびたい!(心の声:お母さんだめっていうかなぁ・・・)

などなど、大きな夢を叶えたいとかではなく、ささいな日常でさえも、やさしい気遣いや思いやりで、やりたいことを思いっきりやれる機会がない気がしました。どちらかというと「やりたいこと」ではなく「やらないといけないこと」で私たちは動いてしまっている気がします。

もちろん「やらないといけないこと」はたくさんあります。実際はやらないといけないことばかりですが。(笑)

ただ「好きなこと・やりたいことをやりたい」という自分の心を無視し続けてると、知らぬ間にもともと自分が好きだったことややりたかったことが分からなくなって、次第に「何をすればいいか分からない」と、目の前のことのみや未来の不安などにばかり囚われてしまうのではないかと、実体験から感じました。そうすると、こどもの「これやりたい!(これ食べたい!など)」にも瞬時に反応できず、自分の価値観の中でしか返答ができない。些細なことなので誰にも相談もできず、気がつけば価値観が窮屈になってしまっていた。なんてことも、私はたくさんありました。

スタートの日。やりたいことをたくさん書いてお山の地図に貼りました。一年後答え合わせをしたらほとんど達成できてました〜!

価値観の違いを親子で知る。

現状をよくしようと努力しているのに真逆にいってしまう。それはなぜなんだろう?
その解決法のひとつとして思いついたのが「好きなことを好きだと大声でいえる環境をつくる」でした。なのでなにか得意なこと(例えば料理)がある人が、得意なこと(料理)をする。するとその“得意(料理)”はその人だけの得意なので、ほかの人(料理が苦手な人)はうれしいし、助かる(そして美味しい♡)。そんな循環を目指しました。
料理、野遊び、声掛け、リーダー役、火起こし隊、こどもと遊ぶ、お魚博士、虫取り博士、野草リーダー・・・などなど色々な得意をそれぞれがやれるような循環が今も常に生まれていっています。

そして森びびにくる人が「なにが好きか分からない」状態になっているならば、「好きを見つけられるお手伝いをする」が私たちの目標のひとつにもなりました。その一環として、日常に活かせるような【衣食住】につながる色々なワークショップやプログラムなどをいつも考えたり企画しています。

おとなだけでなくこどもも「アレだめコレだめ」と言われ続けると、「私これしたい!」がだんだん言えなくなってしまいます。それでも「やるんだー!!」と大声でアピールするこどもはいいですが、今度はおとなが疲弊してしまいます。(笑)

家族のなかだけでいると、価値観は似ます。例えば学校や職場でも、同じような場所にいると、みんな同じような価値観のように思えたりしますが、よくよく顔を覗いてみると全員がまったく違う考えや思いを持っています。家族も一人ひとりがまったく違った考えや感じ方、価値観を持っているんです。だからまずそれを、認めあって助け合う。けれど家族内だけではやっぱり固定観念を解くのが難しいので、ほかの家族とともに過ごせばまた新しい風が吹くんじゃないかと思いました。

実際に現在の活動中は、親子の枠を超えてよその親がよその子を叱ったり諭したり仲介したりするようになりました。よその親が言うと、こどもの心にすっと入っていくんですよね。(笑)そしてこどもも、よその親のほうが甘えやすかったり、よその親もよその子のほうがやさしくできたり。また親同士もこども同士も、「なるほど、そうすればいいのか!そう伝えればいいのか!」とさりげなく周りの様子を見て(笑)学んで進化しています。

スタートしてすぐくらいの活動。お山に何があるかな〜?!を探しました♪

感じ方は十人十色だからこそ楽しい。

「ひとりじゃないよ」「あなただけじゃなくて私もよ!」「私もたくさん怒られる〜!」「私もたくさん怒っちゃう・・・」「でもやりたいよね〜!」「うん、怒られてもやりたい!」「みんなでやれば怖くない〜!」「じゃあ怒られないやり方を考えよう!」
なんてことを、こどももおとなも感じられる場を作れればなと思いました。
「なんだか親に(子どもに)認められてない気がする」といった小さな胸のしこりも、そばに誰か一人でも共感したり認めてくれる人がいるだけで人生は大きく変わる気がします。
そんな場所を、誰か一人でも肯定してくれるような人がいる場所を、私たちは作りたいと思いました。

今思えば、自分自身が肯定されたい。認められたい。からの原動力だったかもしれません。(笑)実際は、肯定されていたし、認められていたはずだけど、私のなかで「まだまだ足りない、コレじゃだめだ」という思い込みの設定でいたかもしれません。(笑)

けれど、今結果として、こどもとおとな、こどもとこども、おとなとおとなの信頼関係がゆっくり育っていっている気がします。
それはとてもとてもうれしいことで、活動に参加しているととても気楽で気持ちがよい空気が流れています。

十人十色でいい。そのままでいい。あとは好きだと大きな声で言えるようになるだけ。

そんなことを言い合えるよう、人と人とのつながりが大きな輪となり広がっていけばいいなと思います(^^)

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WRITING BY

森びび 編集長

町紗耶香

文筆家・編集者。2018年より「森あそびのまなび場」「女神の寺子屋」を主宰。季節の手仕事と、日々のごはん・味噌汁・お漬物を大切にしている。

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