オリーブの木と青虫

町紗耶香

森びび 編集長

ある日、うちにあるオリーブの木の葉っぱがなくなっていました。
「あれれ?おかしいな」と思い、よくよく見たら青虫さんが1匹。
美味しそうに葉を食べていて、このまま放置すればオリーブの木の葉っぱを全部食べてしまいそうな勢いでした。

「木のことや見た目を考えたら、青虫を駆除するのが正しいのかな」
けれど、なんとなく、青虫をそのままにしておきました。

数日後、改めてオリーブの木を見たら2〜3枚の葉っぱを残して、葉がなくなっていました。
そして犯人の青虫も、どこかへいなくなっていました。

「葉っぱがなくなってしまったから、木は死んじゃうのかな」
「食欲旺盛な青虫が2〜3枚の葉を残したのはなんでなのかな」
とても不思議に思いました。

それからさらに数日後。
今度は食べ尽くされた葉っぱの痕跡から、小さな芽が出ていました。
来春くらいまで葉っぱがない状態が続くと思っていたので、びっくりしました。
どの葉っぱの跡にも小さな黄緑色の葉が顔を出していて、心なしか木がうれしそうに見えました。

救世主の青虫さん

このオリーブの木を買ったのは10年前。
実は鉢替えを1回もしていなくて、夏に水やりを忘れて枯れさせかけたり、大雨で土が流れ出して根をむき出しにしてしまったり、主軸の木が枯れて脇芽からでた枝が今は主軸になっていたりと、かなり過酷な状態を生き延びてくれました。なんとか持ち直して、ここ2〜3年は実もつけてくれていました。
葉もたくさん増えていて元気そうに見えていたけれど、もしかしたら、鉢替えをしていないのでかなり弱っていたのかもしれません。
だから、人間からすると一見厄介に見える青虫が、オリーブの木の新陳代謝のために葉をすべて食べてくれたんじゃないかな、と新芽を出している姿を見て何気なく思いました。

オリーブは常緑樹なので、寒くなったからといって自ら葉を落とすことはない木です。この10年間、そもそも青虫に食べられたことなんて一度もなかったので本当に不思議でした。オリーブが、不調を治すために青虫を呼び寄せたんでしょうか。私は青虫がオリーブの木にとっての救世主のように見えました。

元気を取り戻しているオリーブの木を見て、自然界には人間の想像にまったく及ばないサイクルが存在していると改めて思いました。

来年の植え替え時期にはちゃんと鉢を替えてあげます!^^;

自然のサイクルは人間も同じ

オリーブの木を観察していて、私たち人間も同じなんじゃないかな、と思いました。このオリーブの木以外にも、自然界をじっと観察していると、一見悪く見えることがまったく勘違いであるということが多々あります。
だから、人間にとって悪いことと思われがちな「病気」も、実は素晴らしくありがたい存在なんじゃないかなと、私は思えてしまいました。

“風邪を引く。病になる”

このことは一見悪い出来事に見えます。でも実は、私たちの“体のSOS”を、外からの応援部隊としてウイルスや菌が体に入って浄化しようとしてくれているのかもしれない、というように考えることもできるんじゃないかなと思います。
体が弱っているところや悪い部分を取り除くために、症状として現れたり、腫瘍ととして現れてたりして助けてくれているように感じるんです。
それは「休んでね」のサインであったり、「これ以上は体が辛いから、私の体がどのように成り立っているか気にかけてね」という体の声なんじゃないかなと思います。

青虫を悪者にするかしないか。病気(菌やウイルス)を悪者にするかしないか。状況や症状をどう捉えるかというのは、とても難しいことですが、冷静に見つめて観察することがすごく大切だと私は思っています。

もしも「このオリーブの木が可哀想だから」と、青虫を除去したり虫よけの薬をまいたらどうなっていたでしょうか。
人間の体も同じで、体を浄化してくれようとしている菌やウイルスを抗生剤や解熱剤で無理やり除去してしまったらどうなるんでしょうか。
表面上は、オリーブの木はキレイなままであり、人間の体は平熱に戻り回復しているかのように見えると思います。
けれど、目には見えないところ(土中や体内)で起きていることなので、目に見えることだけで判断していたら、本当のことは見失う気がします。

庭に虫が発生する。体が病気になる。これはどちらも「何かのバランスを崩している」サインなんだと思います。もちろん、畑の野菜たちが全部虫に食べられたら嫌だし、もしも病気になったら辛いし早く治したいと、私も切実に思います。
どうしようもない状況では対処療法に頼りますが、「たまたま運が悪かったので、虫問題発生や病気になった」というのはありません。どこかに「根本の原因」は存在していて、見つけようとしたり知ろうとしたりする意思は大切にしたいと思っています。

「風邪を引いたあとは、なぜか風邪をひく前以上に元気になっている」という経験がある人も多いんじゃないでしょうか。風邪は万病の元と言われるけれど、上手く乗り越えれば、一層元気になるありがたいスイッチのように思います。

私たちはどうしても不都合なことが起きると、つい“悪者”を作ってしまいます。
ただ一方的に悪者扱いするのではなく、「実はどういう存在なのか。どう付き合えばいいのか」というのを、まず考えるのが何よりも大切なんじゃないかなと、朝からぼーっとオリーブの木の生命力に興奮しながら、そんなことを思いました。

やっぱり自然観察は、楽しい・・・!

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森びび 編集長

町紗耶香

フリーランスの編集・ライターとして雑誌や広告などに携わる。2018年から「森あそびのまなび場」を主宰。“循環”をキーワードに、「未来につなげたいコトや想い」を取材し記事を届ける。時には現場にも入ってともに実働中。季節の手仕事と、日々のごはん・味噌汁・お漬物を大切にしている。

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